機械はさまざまな信号を発することで周囲環境へ影響を与えます。 そうした信号は装置の動作を反映する適切な情報源です。 これらの信号を理解できれば大幅な最適化が可能になります。 例えば、機械は異常または故障が生じる前に、わずかに異常な振動パターン、ノイズ、超音波が発生します。 機械にセンサを取り付けることで、その活動を監視できます。 人工知能(AI)のおかげで、異常を識別するスマート・ソリューションを構築できます。 その結果、装置が異常の重大度を自動的に分類し、関連するアラートを保全チームに送信できるようになります。 このユース・ケースではデモのためにファン・モータに実装しましたが、このアプローチは多くの産業用機械に容易に適用できます。
アプローチ
超音波に基づく分類モデルは約1秒のデータを収集し、メル周波数ケプストラム係数(MFCC)を使用して前処理し、学習済みニューラル・ネットワークに送ります。このネットワークは、4つのクラス[‘オフ’、‘正常’、‘目詰まり’、‘摩擦’]について学習済みです。超音波に基づく分類では、オンボード・アナログMEMSマイクを使用して192kHz(16bit、1チャネル)のレートで音声を収集します。1ミリ秒間隔でDMA割込みと共に最新の192音声サンプルを受信します。その後、これらのサンプルを重複なしの4,096サンプルからなるスライディング・ウィンドウで累積します。特徴抽出のために、バッファを21,33ms間隔でUSC前処理に入力します。USC前処理で超音波特徴であるMFCC(46 x 32)スペクトログラムを抽出します。
このステップは、計算効率とメモリ管理を最適化するために2つのルーチンに分かれています。
– 前半では、FFTおよびフィルタバンク・アプリケーションを使用して時間領域入力信号からの46 MFCC列の1列をメルスケールに変換します(32メルバンド)。
– 後半では、32列の計算がすべて完了した時点で(つまり981ms後)、メルスケールのスペクトログラムに対数スケーリングを適用して、USC畳込みニューラル・ネットワークの入力特徴を生成します。
(46 x 32)MFCCスペクトログラムを981ms間隔でUSC畳込みニューラル・ネットワーク入力に送ります。 このモデルは異常を[‘オフ’、‘正常’、‘目詰まり’、‘摩擦’]の4つのクラスに分類します。 このモデルは、最大速度で動作するUSBファンに対して有効なように開発されており、その他の速度でテストしたところ正常に機能しません。
センサ
最大周波数応答80kHzのアナログMEMSマイク(参照:IMP23ABSU)
データ
データフォーマット:回転数を1500rpmに固定して4つのクラス間でバランスの取れたさまざまな条件で録音した2~3時間分のデータ
結果
モデル:ST独自の量子化畳込みニューラル・ネットワーク
入力サイズ:46 x 32
複雑度:565K MACC
メモリ・フットプリント:
使用Flashメモリ:163KB(重みデータ)
使用RAM:74KB(アクティベーション・バッファ)
性能(超低消費電力マイコンSTM32L4R9 @ 120MHz使用時)
前処理:24MHz、計算速度:1秒当たり46 MFCC列、1列当たり4.2ms
NN処理:1秒当たり1推論、10MHz、1推論当たり78ms
